横断歩道はすべての人にとって当たり前の生活空間ですが、安全な横断歩道は、
まだまだ当たり前にはなっていないようです。
たとえば、横断歩道の前で車が止まってくれるのを待ち続ける子どもたち。
道路ではなく、スマホの画面から目が離せない若者。
あるいは、お年寄りが横断歩道を渡るのを車に急かされる・・・
そのような、ちょっぴり悲しい場面を目にすることもあります。
どうすれば、東京の横断歩道が安全に渡れるようになるか、
そして、すべての人が安心して、自由にのびのび、
行きたいところに行ける社会を目指せるか。
たまには語り合ってみませんか。
歩く人、自転車に乗る人、クルマを運転する人、横断歩道をとりまく市民のみなさんと警視庁が、
「横断歩道での歩行者保護」をテーマに、ゆるっと意見を交わしながら、様々なアクションにつなげていく、
その名も『みんなで、たまには横断歩道の安全を語り合ってもいいんじゃないか会議』。
略して『みんたま横断歩道会議』がいよいよはじまります。
さぁ、横断歩道の安全、その先のワクワクできる未来を一緒に渡ってみませんか。
JAFが毎年全国で調査している「信号機のない横断歩道における車の一時停止率[※1]」では、2019年東京都は5.8%、つまり歩行者が横断歩道を渡ろうとする時、クルマが通過する100回のうち5〜6回しか止まってくれないという結果に。横断歩道を渡ろうとしても、クルマが止まらない!という実態が、調査で明らかになっています。
1964年東京オリンピック後からのモータリゼーションの進展により、日本はクルマ中心の社会になりました。都内の交通事故死者数は1960年代をピークに年々減少し、2018年で死者数は戦後最小の143人になりましたが、歩行者の死者数が60人で死者全体の42%と高い割合を占めています。さらには、歩行者の死者数のうち、半数を占めているのが「横断中の歩行者」でした[※2]。子ども、高齢者、障害者、訪日外国人など、横断歩道を利用する人の多様性が増している今、「横断歩道での歩行者保護」は待ったなしの重要課題と捉え、クルマ優先から人間中心の交通安全社会を目指す節目が訪れているのではないでしょうか。
[※2] 警視庁調べ
都内の信号機のない横断歩道の現状をさらに明らかにするため、市民による横断歩道調査を、都市・交通計画のエキスパート国士舘大学寺内研究室[※3]の協力のもと実施します。さらに、今回の調査結果は対話型ワークショップで活用し、横断歩道での歩行者保護とみんなが安心できる交通社会の実現に向け、みんなでアクションを起こせるアイデア創出につなげていきます。
[※3] 国士舘大学 都市・交通計画系 寺内研究室
第 4 回は、前回に引き続きオンラインでの開催になりました「みんたま横断歩道 100 人会議 ONLINE WORKSHOP」! みんたま横断歩道会議の集大成となる今回は、アイデアを出し合う対話がメイン。前回の オンライン形式をさらにパワーアップさせた形、参加者のみなさんと交通安全社会の実現に向けて新しい一歩を踏み出すことができました。
はじめに、事務局メンバー山名を司会にキートークが行われました。今回は「Facebook live」を使った生配信で、誰でも閲覧ができる形をとりました。TV のスタジオさながらの雰囲気で、みんたま史上初の試みということもあり、キートークのメンバーもはじめは若干、緊張の面持ちでしたが徐々に笑顔がこぼれはじめ、アイデア出しに向けてボルテージが高まっていきました。
キートークは、事務局メンバー・警視庁職員の浪川による趣旨説明から始まりました。国士舘大学・寺内教授は、市民による横断歩道調査で浮かび上がった課題に関するお話を。事務局メンバー田中からは、国内外の先進的な横断歩道事例が取り上げられ、課題解決に向け様々なヒントを得ることできました。
アイデア出しのセッションは、ワークショップに申し込まれた方を対象に計 6 グループに分かれて実施。同時にキートーク出演者による Facebook live 公開ブレストも行われました。目標はズバリ「世界一、歩行者にやさしい東京を実現する」!横断歩道におけるクルマの一時停止率を上げるために何ができるか、具体的なアイデアを出し合いました。
アイデア出しのセッションでは、参加者一人ひとりが、それぞれの立場・経験をもとに意見を出し合い、様々な視点でのアイデアが集まりました。この多様性も市民と共に考えていくソーシャルアクションの醍醐味と言えます。途中、ファシリテーターから交通安全対策事例の紹介もあり、そのヒントに便乗する形で、アイデアがいっそう厚みのあるものになっていきました。
参加者のみなさんから出していただいたアイデアをファシリテーターが整理し、Facebook live を通じて発表することに。「クルマに対しアピールポーズ」「ハンカチを振る」など歩行者視点のものや、「一時停止したらいいねが集まる」などドライバー視点のもの、その他にも、「様々な事例を VR 体験」「子どもが楽しくなるようなデザインの横断歩道」など、情報技術の活用、インフラ整備、社会規範という方向性でまとめることができました。
今回も大盛況の中、ワークショップを終えることができました。現在、多方面で様々な変化に見舞われている状況ですが、みなさんと共に前向きな気持ちを持てたからこそ、ふだんとは違う新しいことができ、事務局一同、感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、みんなでたまには横断歩道のことを考えながらよりよい未来へ進んでいければと思っています。それではみなさん、交通安全社会がより豊かになるであろう近い将来にまたお会いしましょう。
第 3 回は「みんたま横断歩道会議 ONLINE WORKSHOP」!新型コロナウイルスの影響に伴い、
今回の開催が不安視されていましたが、参加を表明してくださった方々の意見を汲むと同時に、
交通安全に対し少しずつ温まってきた気運を高めたいという事務局・警視庁メンバーの強い想いに後押しされ、
急遽、「オンライン」での開催に切り替える運びとなりました。
今回は、事務局メンバーとワークショップのファシリテーター、横断歩道調査の調査員が 2 ヶ所に拠点を構え、参加者の方々とオンラインでつながる形で進行していきました。オンラインでのワークショップは事務局としても初めての試みで、少なからず不安があっての開催でしたが、なんと 40 名近くの規模となり、参加者みなさんの温かい見守り精神とご協力のもと、終始リラックスムードで進めることができました。
市民の知恵を活かしながら新しい価値を共に創り上げていくことを目的に開催された今回のオンライン・ワークショップ。「歩行者にも優しい交通社会」の実現も必要になるということで、横断歩道での歩行者保護について話し合う『みんたま横断歩道会議』が 2020 年にスタートしました。今回のワークショップは、横断歩道の現況の課題出し。都内 6 ヶ所で実施した横断歩道調査結果(みんたま会議レポート1)を全員で共有した上で、グループに分かれて個人が意見を出し合い、課題をまとめていくという内容でした。
調査結果については、国士舘大学の寺内教授と市民調査員を代表して星さん、田中さん、福島さんに発表していただきました。都心の住宅街、官庁街、学校周辺、閑静な住宅街、商店街が対象となりましたが、クルマの速度を出しやすい環境ではクルマの一時停止率が低くなる一方、常に一定の間隔で横断歩道者がいる環境では一時停止率が上がるなど、横断歩道の実態を共有でき、有意義な形で各メンバーの課題出しへつなげることができました。
オンライン上で、ファシリテーターと参加者数名がひとつのグループになり、計 5 グループで、課題出しを行いました。40 名近くの人数が同時にオンライン上で意見を交わすという、初めての試みのなか、「歩行者とドライバーの意思疎通の必要性」「ドライバーが止まらない理由と心理を理解することも必要なのではないか」「歩行者が横断することをドライバーへ知らせるシステム」など、一人ひとり肌で感じている課題点や、その解決につながるヒントが挙げられました。
事務局にとっても、参加者の方々にとっても初めてのチャレンジとなったオンライン・ワークショップでしたが、参加者の方々からは「web 上での会議でもある程度意見交換できた」など満足の声が聞けました。その一方で、「全体の雰囲気を感じにくい」「反応のわからなさが議論の加速にブレーキ」「チャット機能の活用(情報発信)」などの課題が明らかになりました。次回も試行錯誤しながらの形となりますが、横断歩道での歩行者保護に向けたアイデア出しを実施する予定でいますので、みなさんのご参加をお待ちしております。〈次回ワークショップの詳細〉
第 2 回は、「みん転 100 人会議」からおよそ 2 年ぶりとなるワークショップ「みん転会議 NEXT 2020」!
平日夜で寒さが厳しく、『みん転会議』久々の開催ということで、人が集まるのかという事務局側の
心配もどこ吹く風! 19 時開催の 5 分前には、「自転車交通安全の未来をどうにかしたい !」
という熱意をお持ちの市民のみなさまで、会場がほぼ満席状態になっていました。
「交差点 × 自転車」の交通安全について、市民の知恵を活かしながら新し い価値を共に創り上げていくことを目的に開催された今回のワークショッ プ。開会にあたり、事務局メンバーの山名より、「行政が市民と同じテーブ ルで対話をすることで、自由な発想と遊び心を取り込みながら、安全な交 通社会の実現に向けた、未来に向かっている素晴らしい活動」と挨拶があ りました。
警視庁の事務局メンバーの浪川と、『みん転会議』のディレクターを務めていた小菅によるセッションで、『みん転会議』の振り返りが行われました。
2017年の設立から、警視庁内でのワークショップ、100 人会議にいたる経緯。さらには、警視庁が作成する自転車ナビマークのリーフレットを引用し、翻訳して配布する活動や、豊橋市の工業高校における自転車交通安全をテーマにしたワークショップなど、自発的に行われたみん転活動を紹介しました。
このセッションでは 3 人の市民代表の方が登壇しました。一人目は、サラリーマンロードレーサーである栗栖嵩さん。先進的な自転車通行空間に関する国内外の事例を紹介していただきました。二人目は育児グッズを提供する株式会社 chibito の阿部裕子さん。パパママの声を反映した自転車関連グッズの視点から交通安全について語っていただきました。三人目は、高校生に向けで交通安全講習会を実施している株式会社セルクルの田中章夫さん。交通安全を浸透させるには、理解だけではなく「納得」が必要という独自の視点を語っていただきました。
事務局メンバーの浪川より、一般的な交差点・変則的な交差点における課題の全体共有が行われた後、各テーブルに分かれ参加者それぞれが対話をしながらアイデア出しにつなげていくセッションがスタート。各テーブルでは、積極的に意見が交わされ、用意した十字路交差点と五差路交差点のシートも、個人個人が肌身で感じている課題を記した付箋で埋め尽くされていました。
課題を出し合った後は、それぞれアイデア出しへ。様々な立場からの知見のもと、多様な意見が生み出され、各テーブルの盛り上がりは最高潮に! その後の全体共有では、「交差点進入時のスピードを抑える(ドライバーの意識)」「ナビマークを設置する道路の見直し」「歩車分離信号や自転車専用信号の設置」、「自転車 +αの中速モビリティレーン設置」、「二輪車用停止線の設置」など、自転車に乗る人の視点だけではない、自転車を取り巻く様々なステークホルダーの視点からのアイデアも出されました。
今回参加していただいた方々より、「大変満足している」「今回のような取り組みは役立つし、継続していくべき」「行政の取り組みの有無にかかわらず自発的な活動をしていきたい」など、前向きなご意見を数多くいただくことができました。今回は、対話の重要性や可能性を改めて実感できたワークショップになり、次回の「横断歩道での歩行者保護」をテーマとしたワークショップ開催に向けて弾みがつきました。
みんたま横断歩道会議の取り組み第 1 回目は、「市民による横断歩道調査」でした!
一般から募った市民の方々と、国士舘大学の寺内研究室、さらには『みんたま会議』事務局メンバーから成る
総勢 22 名の横断歩道調調査隊を結成!都内 6 ヶ所で市民主体の横断歩道調査を実施しました。
午前 9 時より赤坂某所にて調査員に対するオリエンテーションを実施。今まで専門調査機関で行われてきた横断歩道調査を、市民参加型でやってみるという試みで、好奇心と期待感、ちょっとした使命感も感じながら、調査隊のテンションも徐々に高まっていきました。
『みんたま会議』事務局メンバーで調査隊代表の田中から市民参加型の調査を行う理由について話がありました。市民自らが調査に参加して横断歩道を渡る際の問題点を肌で感じ取ることが大事で、調査時のリアルな気づきを材料に、今後の対話型ワークショップで、市民が実行できる・実行したくなるアイデアにつなげていきたいことを調査員のみなさんで共有しました。
調査方法は国士舘大学の寺内教授から説明がありました。調査地点周辺の沿道状況や交通状況をもとに、官庁街(国会議事堂前)、住宅街(高輪一丁目・深沢八丁目)、学校周辺(三番町)、商店街(神楽坂)計 6 ヶ所の信号機のない横断歩道を調査地点に選びました。調査内容は、主に横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるとき、クルマがきちんと一時停止するかどうかを確認するもので、①クルマの通過台数・一時停止状況、②横断歩道への接近速度、③横断歩行者数の 3 項目。オリジナルの調査用紙とストップウォッチを使った調査を実施しました。
「国会議事堂前・高輪一丁目」A 班、「三番町・深沢八丁目」B 班、「神楽坂坂上/坂下」C 班の計 3 チームで調査を午前と午後の 90 分ずつ調査。初めは調査の方法に戸惑いを感じた方もいましたが、すぐに慣れて、クルマが通過するごとに、数字だけではつかめないリアルな気づきを得ることができました。調査結果は 2 月 21 日(金)開催予定の『みんたま横断歩道会議』のワークショップでお披露目予定です。どうぞお楽しみに。
今回実施した市民参加型の横断歩道調査では、スピードガンなど専門的な計測機器を使わない、なるべく簡易な調査方法を設計しました。今回の経験を活かし、「誰でもできる調査方法」としてさらに精度を高めることで、いずれは各地域のPTAや子どもの自由研究などに活用され、「横断歩道での歩行者保護」に対する意識が高まっていくことを願っています。
レポート1
レポート2
レポート3
レポート4
国士舘大学寺内研究室の監修のもと、一般から募った市民の方々と
『みんたま会議』事務局メンバーから成る総勢 22 名による都内 6 ヶ所の横断歩道調査を実施いたしました。
結果は以下の通りです。PDF ダウンロードより、調査した結果詳細がご覧いただけます。
市民参加型横断歩道調査の様子がこちらにまとまっています。
Honda セーフティーマップの SAFETY ACTION にも、
調査結果を投稿しています。
日本愛妻家協会事務局長
SCOP
山名 清隆
NPO法人
リコリタ
真田 武幸
issue+design 代表
筧 裕介
ソーシャルデザイン論 講師
cocoroé
田中 美帆
警視庁交通部
交通規制課
都市交通管理第二係
国士館大学
教授
寺内 義典
国士館大学
研究員
橘 たか
デザイナー
issue+design
白木 彩智
デザイナー
issue+design
栗崎 心
ナカジマ製作所
中島 佳人
インフォグラフィックス
cocoroé
渡辺 祐亮
市民調査員
塩田 修
市民調査員
田中 章夫
市民調査員
星 孝則
市民調査員
田所 一美
市民調査員
福島 恵一
市民調査員
上野原 一生
市民調査員
山下 浩一郎
市民調査員
金子 明紀